築140年の古民家を長野県飯山市に購入。米国から移住した高橋ハヤトさんを講師にお迎えして開催された移住セミナー「田舎暮らしはラクじゃない?! ~めんどくさがりやの古民家移住体験談~」のレポートをお届けします。
9月14日に東京・有楽町のふるさと回帰支援センターで開催された移住セミナーは、定員を超えて満席御礼。19名の方にご参加いたただきました。
アメリカ育ちの「めんどくさがりやの古民家マニア」が語る、飯山での古民家暮らしの魅力とは?
飯山市に古民家を購入して暮らす移住者としてお話をしてくれた高橋ハヤトさんは、自称「めんどくさがりやの古民家マニア」。米国ニューヨークで生まれ、幼少期に日本に帰国。その後、再びニューヨークで20年以上暮らし、米国から飯山市に移住しました。
日本の生活や古民家にあこがれ、「寄棟造の屋根の古民家がいい!」と、イメージ通りの古民家を探すために、日本各地を2年かけてまわったとか。
最終的に購入したのは飯山市の築140年の古民家でした。もちろん屋根は寄棟造(屋根が4方向に傾斜している)。物がいっぱい詰まっていた屋根裏を片付けたら、思った以上に立派な屋根裏が現れたそうです。
「雪国の古民家なので梁(はり)が重厚で、おトクな気分になりました」
ニューヨークに住んでいた時は、地下鉄の駅から近くて、スーパーマーケットやコンビニが駅から家までの途中にあるアパートを選んで住む…といった、めんどくささを排除して利便性を追求するような生活をしていたハヤトさん。
飯山で暮らすようになってから、地域での近所づきあいや雪かきなど、一見めんどくさそうなことを「めんどうと思わなくなった」そうです。
その理由は、朝早くからはじまる集落の草刈りに参加したら「早朝ならではの美しい自然の風景が見られてうれしくなった」からだそう。
祭りなどにも積極的に参加することで人付き合いも増え、「この夏は一度も、野菜や果物を買いませんでした(笑)」というほど、たくさんのおすそわけをご近所からもらったそうです。
なぜ古民家に魅かれるのか、自分でもよく分かっていなかった、と言うハヤトさんでしたが、実際に古民家に住んでみて「木で作られた家に住むことは、自然に近いかたちで暮らしていること」と感じたそうです。
めんどくさがりやから一転し、ある意味いろいろと手間がかかる“めんどくさい田舎暮らし”を楽しめているのは、自然を感じられることで「満足した生活をしてるからだと思います」とのこと。
美しい自然の風景が感じられる飯山での暮らしは、「いつも感性が刺激される」と語ってくれました。
「雪ってどうなんですか?」座談会では参加者から、積雪や古民家リフォームに関しての質問が
セミナー後半では、参加者のみなさんとハヤトさん、そして雪国の住宅事情を熟知している飯山市建設業協会長の江口信行さんも交えて座談会を行いました。
最初の質問は「雪ってどうなんですか?」。
参加者のみなさん、気になるのは雪についてでした。
特別豪雪地帯に指定されている長野県飯山市ですが、地形が南北に長く、エリアによって積雪量が異なります。積雪が気になるようであれば、なるべく雪が少ないエリアや、除雪がされる道路に近い場所に建っている住宅を選ぶことがポイント(道路から玄関までの除雪は住人が行うため)。
江口さんによると、家の屋根に積もった雪については、
「飯山では積雪で家が壊れることはない。ただし、屋根の端に雪庇になった雪に引っ張られて軒先が壊れたりすることがあるので注意が必要」
「(屋根は雪が自然落下するタイプや、熱で雪をとかす融雪装置を利用するという方法もあるので)屋根の雪下ろしよりも、落とした雪の片付け方(とかす、どこかに運ぶなど)の方が重要」とのことでした。
家の周りの落雪を片付けないと、雪の重みが家にかかって壊れてしまうこともあるので要注意だそうです。
古民家のリフォームについては、
「水まわりはほぼやり直しになる。特に古い古民家は台所や風呂、トイレなどの水まわりがばらばらなこともあるので、リフォームの際に1か所にまとめてしまいます」と、豊富な経験から語っていただきました。
猫と古民家の相性は?
猫を飼っている参加者の方からは、アメリカから連れてきた猫を2匹飼っているハヤトさんに質問が。
「猫と古民家は合わないですね(笑)。爪とぎをされて障子やふすまが全滅しそうです」と苦笑い。プラスチック製の障子を張ることも検討中とのことでした。
飯山市では今年度中にまた、移住された方を講師にした移住セミナーを東京で開催する予定です。日程や内容が決まり次第サイトでお知らせします。ぜひご参加ください。