飯山市へ移住された方へインタビューしました!
東京から飯山市へ移住して2年目の高梨です。
飯山市へは、毎年100名近い方が「飯山市ふるさと回帰支援センター」を通して移住されています。
私が移住者の方とお話しして分かったことは、”移住のきっかけ”や、暮らしの中で感じることは本当に人それぞれ。
移住者インタビューが、これから移住をお考えの方や、ご興味のある方の参考になれば嬉しいです。
今回は、ご家族で古民家に移住された、佐藤環さんにインタビューしました!
佐藤 環さん
出身 :東京都練馬区
年代 :30代
家族構成 :父、母、自分
移住前のお住まい:マンション
移住後のお住まい:一軒家(古民家)
(取材時:2023年)
プロフィール 2012年 東京都からご家族で移住。市内でも特に雪深い「温井集落」の古民家で暮らす。毎年夏に行われる「いいやま灯篭まつり」では、大型灯篭を制作して展示。地域行事にも積極的に参加するなど、手広く活動中。
飯山市へ移住されたきっかけを教えてください
佐藤環さん(以下、佐藤) 大学を卒業した2011年に、両親が定年を迎えたことと、東日本大震災を経て「ずっと東京にいるのもなぁ」と思い、家族で移住を考えました。
父が長野県出身ということもあり、県内で家を探していました。
しかし、どこもピンと来なくて… そこで、不動産業者の方から、飯山市の「温井集落」にある古民家を紹介され、その後半年ほどで移住しました。
温井集落を紹介されたことが、移住のきっかけになったのですね。
どういったところに魅力を感じられたのでしょうか?
佐藤 視界が開けた風景が広がっていて、初めて来たときの印象が良かったです。
他の市では、見学に行っただけで、近所の人に見られていると感じることがありましたが、ここではありませんでした。
むしろ、人が来てくれて歓迎ムード。
雰囲気が良くて、家族で気に入りました。
内見した時は5月でしたが、まだ残雪があったのには驚きました(笑)
温井集落は飯山市内でも雪深いところですが、雪国での生活に不安はありませんでしたか?
佐藤 市の除雪体制がしっかりしていると聞いていたので、不安はありませんでした。
また、山から引いた水が豊富で、雪を溶かす仕組みがあることも知りました。
今でも除雪機は持っていなくて、家族の手で雪をかいていますよ。
除雪機を持っていないとは、驚きです!具体的にはどのように除雪しているのでしょうか?
佐藤 冬場の雪は「タネ」と呼ばれる、消雪用のため池に放り込んでいます。「タネ」は、温井集落の古民家には大体あると思います。
それでも除雪が大変な時は、ご近所さんと協力し、お互いに助け合っていますよ。
佐藤さんのご自宅は集落の中でも山に近い上部にあり、下の住宅よりも「タネ」の水が温かいという。「タネ」があると除雪機の動ける範囲が狭くなることから、使わずに冬場は埋め立てている家もあるそう。雪国ならではの、昔からの生活の知恵だ
他にも、飯山市には「一里一尺(いちりいっしゃく)」という言葉があります。飯山市は南北に長い形をしていますが、北へ一里(約4km)進むごとに一尺(30cm)積雪が増える、という意味です。
市の北部に位置する温井集落では、一晩で60~70cm降ることもあるので、除雪が欠かせません。
それでも、一週間降り続くとか、電柱まで積もるというようなことは今はめったに無いですよ。
ただ、生活するには、車の車高は高い方がいいですね。
雪のある生活の楽しみを教えてください
佐藤 移住前は「雪だるまや、かまくらが作れる!」と思っていましたが、雪の降る量が多く、すぐに埋もれてしまうので、いまだに作っていません(笑)
その代わり、違う楽しみとして、「凍み渡り(しみわたり)」という、夜のうちに固くなった雪の上を、朝になって歩ける現象を楽しんだりしています。
普段は通れない道が通れたり、「こんなところ歩けるんだ!」という驚きがあります。雪の上にいると、いつもより視点が上がるのも面白いです。
あとは、シャベルで雪の階段を作るのが上手くなりました(笑)
集落の人々とのかかわりについて教えてください
佐藤 移住後に就いた仕事のほとんどが、地域の人からの紹介でした。
個人店でのアルバイトから始まり、今は観光業の仕事をしていますが、他にもイラストや「わら細工」など、家でできる手仕事もしています。
農業ができない冬季の手仕事として「わら細工」が作られてきた温井集落。
「声をかけられて、地域のおばあちゃんに教えてもらいました。手作業が大好きなので大喜びでした」(佐藤さん)
「わら細工」は、飯山駅観光案内所をはじめ、市内各地で販売している
また、移住してすぐに地域の婦人会にも参加しました。面白そうで、興味があったので。
学習会としてクラフトをやったり、皆で作ったものをバザーに出したりしました。
移住者だから、そういうところに顔を出さないと、知り合いがなかなかできないんですよね。
婦人会では、初めに顔合わせがあったので、参加してよかったです。
それからは、お祭りのお囃子など、今まで女性がいなかった現場にも関わらせてもらいました。
地元の方が移住者に抵抗がなく、受け入れてもらえていると感じましたね。
毎年8月に行われている「いいやま灯篭まつり」では大型灯篭を出展されていますね。和紙には、もともと興味があったのでしょうか?
佐藤 移住してから、内山紙(飯山市の伝統工芸品である和紙)を知りました。
武蔵野美術大学で版画を専攻し、木版画の制作をしていたので、和紙は身近な素材でした。
「いいやま灯篭まつり」には、毎年大型灯篭を出しています。軽トラで運べる大きさのものと決めて、自宅で作っています。
佐藤さんも関わって10年ほどという「飯山和紙研究会」。主に週末の活動に参加しているそうだ。右手前のランプが、佐藤さんの作品
飯山ならではの文化に親しみ、心から楽しまれているのを感じます。
生活していて大変なことはありますか?
佐藤 私たち家族にとって、初めての一軒家暮らしでした。
温井集落に限ったことではないのですが、古民家での暮らしは手入れが必要なので、管理人がいる賃貸との暮らしは違います。
東京での生活に比べれば、車がないと不便で、維持費もかかりますね。
それでも、買い物には市内の大型店舗やネット通販もありますし、生協の宅配も利用できています。生活の中で、困っていることはあまりないですね。
飯山のオススメの食べ物を教えてください
佐藤 食べ物はなんでも美味しいです!
自宅に田んぼがあるので、お米を買わなくなりました。飯山でできたお米は本当に美味しいです。
移住前はパンを食べることが多かったのですが、移住してからは3食お米になりました(笑)
高原の気候なので、自宅で採れた野菜も絶品です。たくさん採れるので、大きめの冷凍庫が必須ですね。
これからの目標はありますか?
佐藤 古民家の手入れのあれこれを頑張りたいです。
そして、内山紙を生活の中に取り入れたいなと思っています。
最後に、移住をお考えの方へメッセージをお願いします
佐藤 思い切って来ちゃえば楽しいですよ!
「田舎はゴミをチェックされそう…」というのを聞いたことがありますが、そんなことはなく、実際のところ、皆そんなに暇じゃないですね(笑)
積極的にあちこちへ顔を出してみれば、繋がりも生まれて、なんとかなります!
ありがとうございました! インタビューを終えてのあとがき
田舎暮らしと聞くと「どこか窮屈…」という印象があるかもしれません。
しかし、佐藤さんは地域行事や伝統文化に親しみ、積極的に関わりを作っていくことで、のびのびと田舎暮らしを楽しまれていました!(ご自身持ち前の好奇心さながら)
佐藤さんは移住の面でも先輩ですが、実は私の大学の先輩でもあります。色々な場所に顔を出していると、そういったご縁が繋がることもあります!
地域との繋がりは切っても切れないものです。
協力し合いたい!楽しみたい!という気持ちこそが、移住生活を楽しむコツかもしれません。